結婚指輪選びで後悔しないために。基礎知識を知っておきましょう

夫婦の結婚指輪
結婚の記念に、夫婦になるふたりが用意するのが結婚指輪(マリッジリング)です。

よく比較されますが、婚約した時に男性から女性へ贈るのが婚約指輪(エンゲージリング)。
公に認められた結婚の「証の指輪」と「約束の指輪」の違いですが、慣習として日本に入ってきたのは、それぞれ違いもあり、それに求める意味やデザイン、お値段も、また違っているのです。

ヨーロッパでは婚約指輪が、結婚指輪を贈る慣習以前からありました

結婚の際に指輪を贈る慣習は、ローマにおける結婚式で「花婿は花嫁に金の指輪を、花嫁は花婿に銀の指輪を交換する」という11世紀の文章が残されていて、これが世界最古の結婚指輪の交換に関する記録です。

それにさかのぼる9世紀、ローマ教皇ニコラウス一世(在位858~867年)は、指輪が結婚の証拠になることを認めた、と言われ、13世紀のヨーロッパでは一般に広まっていたようです。

婚約指輪は、紀元前から栄え5世紀に滅んだ古代ローマ時代にはすでに存在していた、とされ、西欧では婚約指輪が古い歴史を持っているのです。

当時の指輪は鉄製。
左手の薬指に婚約指輪をつけるのも古代ローマ時代からあり、これは左手が心臓に近く、薬指が心臓に直結すると信じられていたからだそうです。

一方、日本では、指輪の歴史そのものがヨーロッパと比べて新しく、明治時代になってから装飾品として普及しました。
キリスト教式の結婚式では明治時代には結婚指輪の交換がおこなわれ、新聞でも結婚指輪の広告が明治時代の終わりには見られるようになりました。

大正時代には結婚指輪の慣習は定着した、といわれます。

一方、婚約指輪の慣習が定着したのは、ずっと遅く昭和30年代半ば以降。それまで制限されていたダイヤモンドの輸入が解禁されたのがきっかけです。西欧とは、順序が逆です。

西欧文化が入る前から日本には結納の慣習がありました

このように日本では明治時代に入って結婚指輪の慣習がヨーロッパから入ってきたわけですが、これは明治政府がさまざまな分野の「文明開化」を、西欧をモデルにして展開してきたためです。

それまでは、結婚に伴う儀式としては、中国の影響を受けた「結納」(ゆいのう)がおこなわれていたのです。

男性が仲人を介して女性側に礼物を送って求婚する「納采」(のうさい)から花嫁を花車に乗せ男性宅へ迎え入れる「親迎」まで「六礼」があり、これが、今でいう婚約から結婚までの1セットです。

これが取り入れられ、現代でも皇室では結婚に先立って「納采の儀」が執りおこなわれています。

平安時代まで日本では結婚は、男性が女性の家に入る「婿入り婚」でした。
女性が男性の家に嫁ぐ「嫁入り婚」が普通になった室町時代から結納が武家の儀式として広まっていきました。

小笠原流など武家礼法の諸流派が、平安時代に貴族がおこなっていた婚礼儀式をもとにして確立させたのです。

今は、婚約指輪と略式結納が、結婚指輪と結婚式がセットに

古くは中国から、新しくは西欧から文化を受け入れた日本ならでは、の歴史を指輪も反映しているわけでしょう。

ですから、婚約指輪は、古くからの結納の儀式とは直結しないのですが、現代では、指輪を贈ったあと、親兄弟が集まって食事会を略式な結納としておこなうことも多いです。

結婚指輪は2人で用意し、結婚式で指輪を交換する人が大半です。

もちろん、結納や、結婚式を挙げないで結婚指輪の交換だけをする人や、戸籍だけ作る(入る)人など、結婚をめぐる儀式は多様化しています。

結婚指輪を揃える意味はいろいろ

結婚指輪はペアで購入し、互いに身につけることで、常に相手の存在を感じていたい、とか、長い結婚生活の中で、さまざまな「障壁」が訪れた時に、かつての「幸せな気持ち」を思い起こす役割とか、結婚していることを、指輪の存在によって周囲に知らせることができるアピール効果もあります。

いつまでも、肌身離さず指に付けている人はどの程度いるか?など結婚指輪に関する調査は複数あります。
そのうち、2014年から2018年に既婚男女を調べた調査から推定すると、結婚指輪は年代とともに着用率は下がっています。

結婚当初はつけている人も50代では、めっきり下がって20%を切るというデータもあります。
しかし、一方で、結婚指輪を「肌身離さず付けている人」は全体の半数前後。

「着るものを考えて」付ける人の割合はそれより高く7、8割に達しています。

後悔のない結婚指輪選びをするにはどうすれば良いか、その基礎知識をお教えしましょう。